2019年04月18日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年4月号/第80号/[他者の商標の登録を争う方法]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2019年4月号 第80号 [他者の商標の登録を争う方法]
発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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春ですね・・・。

今月号は、石下雅樹弁護士からです。

編集/茂木


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[2] 他者の商標の登録を争う方法
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(1)他者の商標の登録を争う方法
 商品やサービスの展開にあたって、ブランドの活用は重要な位置
づけを占めます。

 この点、自社のブランドに抵触するような、商標を、他社が出願
したり、または登録を得てしまうということがあるかもしれません。
あるいは、本来は誰でも使えるはずの普通名称的な商標が他社に
よって登録されてしまうということもあるかもしれません。

 このような場合に、商標法に照らすと本来登録を受けるべきでな
いと考えられる商標の登録を阻止したり、登録を覆したりする制度
があります。

 具体的には、以下のような方法があります。

(a)情報提供制度
 商標が出願されると、後にその出願が公開されます。この場合、
第三者が、当該出願が商標法の要件を満たしていないと考える場合、
その理由についての情報や資料を提供することができます。

(b)商標登録異議制度
 ある商標が登録された後、第三者が特許庁に対し、その登録の取
消を申し立てることができます。

(c)無効審判
 前記の「登録異議」に加えて、登録商標について無効とすべき理
由があると考える場合に、特許庁に請求できる「審判」という制度
があります。

(d)不使用取消審判制度
 他社がある商標の登録を受けているのに、現実には使用されてい
る形跡がないと思われる場合があります。このような使用の事実が
ない商標に独占権を与えるのは不合理であるため、当該商標の登録
を取り消すことを求める制度があります。

(2)各制度の違い
 各制度には種々の違いがありますが、数点に絞って見てみたいと
思います。

(ア)手続を行える当事者
 情報提供、登録異議申立、不使用取消審判は誰でも手続を行うこ
とができます。この点、例えば、登録を争いたい商標権者が、自社の
取引先であるとか、(表向きは紛争に入りたくない)競業先である
という場合があるかもしれません。それで、自社の名前を出さずに、
第三者の名前で(もちろんその第三者の承諾を得て)手続を進め
ることは実務上珍しくありません。

 他方、無効審判を請求するには、利害関係が必要と解されていま
す。それで、この手続が使用できない場合もあります。

(イ)手続を行える期間
 情報提供については、特許庁に係属している商標登録出願につい
て行うことができます。つまり、拒絶査定が確定した場合、設定登
録された場合、取り下げられた場合等には、情報提供を行うことは
できません。

 商標登録異議申立も、登録公報の発行から2ヵ月以内という期間
の制限があります。

 他方、無効審判については、原則としていつでも無効審判の請求
が可能です。ただし、多くの無効理由は、商標登録日から5年以内
に無効審判を請求する必要がありますので、これを目安とするほう
が安全です。

 また、不使用取消審判は、登録から3年経過した後ならいつでも
申し立てることができます。

 以上のように、他者の商標の登録を争う方法は種々あり、一長一
短がありますが、これらの手続を利用して、不当な商標登録を防止
したり覆したりできれば、自社のビジネスへの悪影響をできるだけ
小さいものにとどめることができるかもしれません。

 具体的なアクションにおいては専門家への相談と助力が必要です
が、どんな制度があるのかを知っておくだけでも損はないでしょう。
 

執筆: 弁護士・弁理士 石下雅樹
     http://www.ishioroshi.com/




【編集発行】オンライン法務部

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2019年03月21日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年3月号/第79号/[年次有給休暇の5日間の付与義務]

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2019年3月号 第79号 [年次有給休暇の5日間の付与義務]
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[1] ご挨拶
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ほぼ春って感じになってますね・・・。

今月号は、山本喜一社会保険労務士からです。

編集/茂木


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[2] 年次有給休暇の5日間の付与義務
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年次有給休暇の取得率が低迷していることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に実行されることを目的として、年次有給休暇の付与義務が規定されました。

2019年4月より、企業規模の大小に関わらず、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければいけません。また、必要な日数の年次有給休暇を付与させなかった使用者は、罰則が課されます。

パートタイム労働者など、週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働時間が4日以下であるため、比例付与によって年次有給休暇を付与されている人の場合は、付与日数が年10日未満となることがあります。

この場合は、使用者による時季指定の対象とはなりませんが、契約の更新をして当該会社での勤続期間が一定以上となった場合は、対象となる可能性があります。具体的には、所定労働日数が4日または1年間の所定日数が169日から216日であれば継続勤務年数3.5年から、所定労働日数が3日または1年間の所定日数が121日から168日であれば継続勤務年数5.5年から、年次有給休暇の付与が10日以上となりますので、対象労働者となります。

「年次有給休暇」は、休暇に関する事項として就業規則の絶対的記載事項ですので、労働基準法39条7項の使用者による時季指定を行う場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法について、就業規則に記載をする必要があります。

実務的なステップは下記のとおりです。
□年間10日以上の年次有給休暇が発生する労働者を確認します。
□就業規則に使用者による時季指定の方法などを記載します。
□年次有給休暇取得の時季に関する労働者の希望などについて意見聴取をします。
□1年の途中で各労働者の年次有給休暇の取得日数を確認します。
□年次有給休暇の取得が進んでいない労働者には会社が時季を指定して有給休暇の取得をさせます。
□半日単位の有給休暇を認めるのかを確認します。
□有給休暇の計画的付与を実施するか検討します。


執筆: 社会保険労務士法人日本人事 代表社員 山本喜一
http://www.sr-jhr.com/




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2019年02月24日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年2月号/第78号/[2019年4月より、外国人に就労が認められる在留資格として、新たに「特定技能」が創設されます]

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2019年2月号 第78号 [2019年4月より、外国人に就労が認められる在留資格として、新たに「特定技能」が創設されます]
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[1] ご挨拶
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三寒四温って感じになってますね・・・。

今月号は、茂木正光行政書士からです。

末尾のお知らせコーナーにはメルマガ読者特典として、
オンライン法務部メンバーによる無料相談のお知らせもあります。
あわせて、ぜひご覧ください。

編集/茂木


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[2] 2019年4月より、外国人に就労が認められる在留資格として、新たに「特定技能」が創設されます
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2019年4月より、外国人に就労が認められる在留資格(以下、就労資格)として、新たに
「特定技能」が創設されます。現行、就労資格は「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」
など専門的・技術的であることが要件とされています(原則として大学卒業)。また、「技能実習」
は、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う
「人づくり」に協力することを目的としており、非専門的・非技術的な農業、漁業、工業、建設業
などの現場にて受け入れています。今回新設される「特定技能」は、特定産業分野に属する
相当程度の知識または経験を必要とする技能以上を有することを要件としています。専門的・
技術的な外国人労働者の受入れを原則として、例外的に、単純労働については、「技能実習」
や「留学生(資格外活動の許可取得を要件として)」を受け入れてきましたが、この政策を転換
したといえます。日本が人手不足ということの表れでもあります。

特定技能には、以下の2種類があります。
特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務
に従事する外国人向けの在留資格
特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能1号を経て、特定技能2号となります。特定産業分野とは、介護、ビルクリーニング、
素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、
航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野です。なお、特定技能2号は建設、
造船・舶用工業の2分野に限定されており、受入れ開始も2021年を予定しています。

特定技能1号のポイントは、以下のとおりです。
@ 在留期間:1年、6ヵ月または4ヵ月ごとの更新、通算で上限5年まで
A 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
B 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した
外国人は試験等免除)
C 家族の帯同:基本的に認めない(なお、特定技能2号は要件を満たせば可能(配偶者、子)になる)

受入れ機関とは、外国人を雇用する会社などのことです。受入れ機関が外国人を受け入れるための
基準としては次のとおりです。
@ 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること(例えば、報酬額が最低賃金以上で、かつ、同一業務
を行う日本人と同等額以上)
A 受入れ機関自体が適切であること(例えば、5年以内に出入国・労働法令違反がないこと)
B 外国人を支援する体制があること(例えば、外国人が理解できる言語で支援できること)
C 外国人を支援する計画が適切であること(例えば、生活オリエンテーションなど)

受入れ機関の義務は次のとおりです。
@ 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(例えば、報酬を適切に支払うこと)
A 外国人への支援を適切に行うこと(支援については、登録支援機関に委託も可能)
B 出入国在留管理庁(4月1日より入国管理局が改組)への各種届出を適切に行うこと

特定技能1号として外国人を受け入れる場合、3つの流れがあります。@技能実習2号を修了した外国人
(技能試験及び日本語試験は免除されます)、A海外からの新規入国予定の外国人(技能試験及び
日本語試験に合格)、B国内に滞在している留学生などの外国人(技能試験及び日本語試験に合格)
となります。

特定技能の受入数については「枠」が設定されましたが、急速に外国人が増加することが想定されます。
各受入れ機関、そして各地域にて特定技能の在留資格を有する外国人を支援する体制を構築する
必要に迫られているといえます。


執筆: 行政書士/司法書士 茂木正光
http://www.motoffice.jp/



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