2016年01月21日

【オンライン法務部メールマガジン】2016年1月号/第41号/[合同会社の活用について]

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2016年1月号 第41号
テーマ [合同会社の活用について]

発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[1] ご挨拶
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

寒波が来ていますねぇ・・・。とりあえず、第41号です。

今回は、松田敏明司法書士からです。

編集/茂木


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[2] 合同会社の活用について
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1.総論
 起業をする際には、まずは個人事業でスタートするか、最初から法人形態で
スタートするかという選択肢があり、また、個人事業としてスタートした後に、
法人形態に移行(法人成り)するという流れもあるかと思います。
 その法人の形態にも、一般的に知られている株式会社のほか、小規模な
組織を前提とした持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)や、事業内容に
よっては一般社団法人なども考えられます。
 その中で、今回は合同会社についてピックアップしてみます。

2.合同会社とは
(1)総論
 合同会社とは、所有(株主)と経営(取締役)の分離を原則とする株式会社
と異なり、所有と経営が一致する持分会社の一形態であり、平成18年5月に
施行された会社法で認められるようになりました。
 同じタイミングで廃止された有限会社の代替として期待された部分がある
ものの、認知度の低さからかあまり選択肢に挙げられてきませんでしたが、
徐々に設立された会社数も増えてきており(2012年:約10,000社、2013年:
約15,000社、2014年:約20,000社)、累計でも10万社ほどの合同会社が
設立されてきています。

(2)特徴(株式会社との比較)
@ 所有と経営の一致/間接有限責任
 合同会社では、出資者である「社員」が業務執行権を持っており、出資者
自身が業務を行っていくことで、スムースかつ迅速に意思決定を行い、会社を
経営していくことができます。規模や形態にもよりますが、株式会社の場合は、
出資者(株主)から選ばれた取締役が、株主の意向に沿った形で業務を行う
こととなり、一定の裁量は与えられているものの、株主が決めるべき内容も
多く、その点ではスピード感を欠く場面もあります。
 また、社員は出資した金額を限度として限定的に責任を負うにすぎず、
個人の資産と会社の資産を切り離すことができるメリットがあります。
この点は株式会社の株主と同じです。
A 運営の自由度が高い
 合同会社は、社員間の人的信頼関係の上に成り立っており、定款自治が
広範囲に及び、法律の規定に違反しない限り、定款の規定を自由に設計する
ことができます。
 株式会社であれば、出資の単位である株式の数に応じて株主総会の議決権が
与えられ、出資比率に応じて利益配分が受けられるのが原則であるところ、
合同会社であれば、出資の種類や金額に関わらず、意思決定の方法や議決権
(業務執行権)・代表権の態様、損益分配・残余財産分配の割合を自由に
決めることができます。
B コストが安い
 まずは、設立コストとして考えられる大きなものとして、定款認証費用と
設立登記の登録免許税があります。合同会社を設立する場合、公証人による
定款認証手続が不要であるため、認証手数料(5万円)がかかりません。設立
登記の登録免許税は、最低金額が6万円とされており、実質的なコストとして
その6万円のみで会社を設立することも可能と言えます。株式会社を設立する
場合は、定款認証費用がかかるのと、登録免許税の最低金額が15万円と
なっていることから、最低でも20万円程度が必要となることと比べると、
初期コストを抑えることができます。
(※なお、書面で作られた定款に印紙税(4万円)が課される点及び電子定款
認証手続ではその印紙税がかからない点については、合同会社と株式会社とで
変わりありません。)
 また、運営コストとして考えると、合同会社の場合、株式会社で必要と
されている毎年の決算公告が義務付けられていないため、その公告掲載費用が
不要であり、また、株式会社の取締役等のような任期は決められておらず、
任期満了に伴う変更登記も必要ないため、その登記に関する登録免許税も
かかりません。
C その他
 上記の特徴は、株式会社と比較してメリットと思われるものが中心となって
いますが、それ以外にも株式会社を選択した方がよいと考えられるポイントも
あります。
 例えば、
・合同会社は人的信頼関係の上に成り立っているため、大規模(大人数)では
 運営しにくく、社員間での対立が生じた際に、八方ふさがりになる可能性が
 ある。
・会社数も増えてきたとはいえ、まだ株式会社の方が認知度も高く、場合に
 よっては信用度も高い。
・資金調達の手段が制限され、いわゆる上場をすることはできない。
 また、合同会社は、株式会社に移行(組織変更)することが認められています。

3.まとめ
 ビジネスを展開する際に、個人事業で行うのか、法人形態がいいのか、
その場合はどの種類の法人(会社)がいいのかについては、業種・関係者数・
事業規模・将来性などケースバイケースですので、それぞれの特徴を把握して、
検討していくことをお勧めいたします。
 今回取り上げた合同会社は、低コストでスタートできるメリットがあります
ので、当初は合同会社でコストを抑え、事業展開や規模の変動などの状況を
見て、株式会社へ組織変更するという選択肢もあるかもしれません。

執筆: 司法書士 松田敏明



【編集発行】オンライン法務部

オンライン法務部とは http://www.motoffice.jp/olld.index
専門家集団のご紹介 http://www.motoffice.jp/olld.profile.html



posted by olld at 09:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする