2017年04月20日

【オンライン法務部メールマガジン】2017年4月号/第56号/[インターネットモール運営者と権利侵害に対する責任]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2017年4月号 第56号 [インターネットモール運営者と権利侵害に対する責任」

発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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もう初夏ですね・・・。今月号は、石下雅樹弁護士からです。

また、5/11木、19時15分〜、竹橋開催の
医療介護人材研究会「在宅医療・居宅介護支援現場の人材育成」
のご案内がございます。
川添高志さん(ケアプロ株式会社 代表取締役)からご発表をいただきます。
ケアプロさんの「セルフ健康チェック」はこんな感じです。2016年1月末時点で、約34万人が利用されたとか。
http://carepro.co.jp/onecoin/

編集/茂木


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[2] インターネットモール運営者と権利侵害に対する責任
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(1)インターネットで「場」を提供する事業者に関する問題点

読者の皆さんの中には、インターネットモール、掲示板といった、他者の販売
活動の「場」や成果物を公表する「場」を提供し、ビジネスにつなげようとする
方もおられるかもしれません。そして、モールに出店された商品や画像が、
他者の特許権や商標権といった権利の侵害と主張される場合があります。
この場合、出店者のみならず、モールの運営者にも責任は生じるのでしょうか。

この点、商標権侵害品のケースで、インターネットモールが、権利者から警告
を受けたのに一定期間に適切に対応しない場合、運営者が責任を負う余地がある
と判断されたケースがあります(知財高裁平成24年2月14日判決。チュッパ
チャップス事件)。他方、特許権侵害品と主張されたケースで、モール(楽天)に
対する差止請求を否定した判決もあります(知財高裁平成27年10月8日判決)。

この点両判決は矛盾するという評価もありえます。他方、特許侵害の有無は判
断が非常に難しく一見して侵害といえるケースは少ない(前記楽天の事件も結論
的には販売製品の特許侵害も否定している)のに対し、商標権侵害は、偽物やコ
ピー品のように侵害判断が比較的容易なケースが少なくないため、モールの運営
者の義務も異なっているのではないか、という根拠づけもあると思われます(筆
者の私見)。いずれにせよ、インターネットモールの運営者としては、権利侵害品
の販売について権利者から警告があった場合には、権利の性質や侵害品(と
主張されるもの)の内容に応じ、放置せず、対処すべきものはきちんと対処する、
というスタンスは重要かと思います。


(2)第三者から侵害の警告・指摘を受けた場合の実務上の対応

では、第三者から権利侵害の指摘や警告を受けた場合を念頭に、運営者がどん
な対応ができるか、以下、事前に行えることと、事が起きた際に行うべきことに
ついて、若干の例を考えます。

ア)事前の規約等の整備

まずは、自社のリスク軽減と、有事の際の対応を可能とするという観点から、
以下のような内容のうち、効果的・現実的と思うものを利用規約等において整備
することが考えられます。

i 自社商品が第三者の権利を侵害していないことを出店者が保証する旨
の規定
ii 運営者から請求を受けた場合、出店者が自社商品の権利侵害調査を行い、
運営者に調査結果を書面で報告する義務を負う旨の規定
iii 出店者の調査義務とは別に、運営者自ら出店者の商品の権利侵害調査を
行う権限を有する旨、その結果、運営者が、自己の裁量と判断で、出店
者ページや対象商品のページを削除し、又は表示の一時停止をする権限
を有する旨の規定
iv 出店者からの報告や運営者の調査の結果、侵害の疑いが拭えない場合、
この点が解決されるまで、運営者が自己の裁量と判断で、出店者ページ
や対象商品の表示の一時停止をする権限を有する旨の規定
v 運営者が紛争に巻き込まれた場合、運営者が出店者に対して、調査や
対応に要したコスト・支払った賠償について求償でき、出店者が補償
する旨の規定

イ)実際の警告・指摘があった場合の対応

先に触れたとおり、権利侵害の指摘を受けた場合、モールや掲示板等の運営者
は、権利の性質によっては、侵害を知ってから「合理的期間内」に、つまり迅速
に対応することが必要となる、と判断されることがあります。この点前述の商標権
侵害のようなケースでは、上のような対応は必要ではないかと考えられます。
他方、特許侵害の主張や、不正競争防止法違反の主張というケースでは、
微妙なケースも多数あり、判断は困難をきわめます。では、運営者としては
どのように動くべきでしょうか。

これについては、残念ながらすべてのケースに当てはまる最適解を一つに絞る
ことは難しいと思われますのが、以下のような選択肢を踏まえ検討すると有益か
もしれません。

(i) 侵害が確定するまではそのまま出店者による販売を許す。
(ii) 一見して侵害と分かる製品以外は、そのまま出店者による販売を許す。
(iii) 出店者から非侵害の旨の合理的な説明があれば、そのまま出店者に
よる販売を許す。そうでない場合、侵害の有無が解決されるまで、掲載
を停止する。
(iv) 出店者によって、非侵害の旨の弁護士や弁理士の合理的内容の意見
書が提出された場合のみ、そのまま出店者による販売を許す。それ以外
の場合、侵害の有無が解決されるまで、掲載を停止する。
(v) 一見して侵害ではないと分かる製品以外は、侵害の有無が解決され
るまで、掲載を停止する。
(vi) 侵害の有無が解決されるまで、一律掲載を停止する。

以上の選択肢のどれがベストかは、現時点では様々な見解がありえます。しか
し、モールのポリシー、法的リスク、コンプライアンスに対する姿勢、運用のし
やすさ、コスト等を踏まえた経営判断のうえ会社としてのスタンスを決めること
は、場当たり的な対応を避けられるという意味で運用上も望ましいかもしれませ
ん。

執筆:弁護士・弁理士 石下雅樹)
http://www.ishioroshi.com/


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[3] 医療介護人材研究会「在宅医療・居宅介護支援現場の人材育成」
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さて・・・。5/11、医療介護人材研究会を開催します!

今回は、ワンコイン健診や訪問看護などヘルスケアベンチャーの雄「ケアプロ」を率いる川添高志さんより、
在宅医療・居宅介護支援の現場で新卒の看護師を即戦力とするノウハウを中心にご発表をいただきます。
ご発表の後、質疑応答の時間もございます。

人材の採用、育成につながるお話しです。ご参加申込みをお待ちしています!


20170511医療介護人材研究会
テーマ 在宅医療・居宅介護支援現場の人材育成
発表者 川添高志さん(ケアプロ株式会社 代表取締役)
http://carepro.co.jp/
共催 健康産業イノベーション連盟
日時 5月11日(木曜日) 19:00受付開始 19:15研究会開始 20:50終了
会場 竹橋「ちよだプラットフォームスクウェア」
地図→ http://www.yamori.jp/access/?id=10
会費 社会人2000円、学生1000円

参加申込
担当(茂木)のメルアド info@sp-senryaku.org まで、
下記の内容を送信してください。

5/11医療介護人材研に参加します。
お名前:
所属:
連絡先(メルアド):
懇親会の出欠: 出席/欠席

または、下記のらくらく参加フォームからお申込みください。
「勉強会名」を「5/11医療介護人材研」としてください。
(SSL暗号化対応)
https://form.os7.biz/f/4da7401d/

勉強会終了後、懇親会を開催します(費用別途)。



【編集発行】オンライン法務部

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