2017年06月15日

【オンライン法務部メールマガジン】2017年6月号/第58号/[特許侵害があったら、どうする? どうなる?]

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2017年6月号 第58号 [特許侵害があったら、どうする? どうなる?]

発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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梅雨とはいえさわやかに涼しいですね・・・。今月号は、廣瀬隆行弁理士からです。

編集/茂木


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[2] 特許侵害があったら、どうする? どうなる?
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1 どのような場合に特許権侵害とされるか
(1)文言侵害
特許公報の「特許請求の範囲」に、「請求項」が記載されています。その「請求項」に


書かれた内容が、特許権の内容です。 ひとつの特許公報に複数の請求項が記載されて


いることがあります。この場合、複数の請求項それぞれに、特許権が発生します。
そして、対象となる製品や方法が、いずれかの請求項に記載された内容を全て満たす
場合に、特許権の侵害となります。例えば、請求項1が「AとBとを含む装置」の場合、


AもBも含む装置が請求項1に関する特許権を侵害することになります。
Aのみを含む装置や、Bのみを含む装置は、請求項1に関する特許権を侵害しません。


また、請求項2が、「請求項1に記載の装置であって、さらにCを含む装置」の場合、


請求項2は、「AとBとCを含む装置」を意味します。この場合、A、B及びCを含む装置が
請求項2に関する特許権を侵害することとなります。
A又はBを含まず、Cを含む装置は、請求項2に関する特許権を侵害しません。
なお、請求項2と請求項1は別々の特許なので、請求項2があるからといって、請求項1
の権利範囲がCを含むものに限定されることはありません。

(2)均等論による侵害
ただし、対象製品などと請求項に記載された内容が、完全に一致しなくても、実質的に


同一といえる場合には、均等論により侵害される場合があります。

(3)間接侵害
その他、請求項の内容を満たさなくても、将来特許権を侵害することが予想される場合


などには、間接侵害(特許法101条)とされる場合もあります。

2 特許権侵害事件でのやり取り
(1)警告状
第三者が特許権を侵害していても、すぐに訴訟を提起することはまれです。通常、
特許権者は、その者に警告状を送り、侵害を止めるように促すか、実施料(ロイヤルティ)


を支払うことを促します。
統計上、大企業か比較的規模の小さい企業(ベンチャー企業等)が最も警告状を通知
することが多いようです。

(2)検討
警告状を受け取った者は、特許の内容を検討します。具体的には、特許原簿を取り寄せ、


相手が本当に特許権者か確認し、特許公報を取り寄せ、自分の製品が請求項の内容を
満たすかどうかを検討します。もちろん、特許権が有効に存続しているかどうかも検討します。
さらには、特許に無効理由があるかどうかなども検討します。

3 訴訟
(1)和解交渉と訴訟
多くの場合は、数回程度交渉を行い、和解します。しかし、まれに訴訟に至ることがあります。
訴訟になれば、1〜2ヵ月ごとに期日(裁判所に出頭する日)がありますので、その準備
をしなければならなくなります。
特許権侵害事件は、通常弁護士に訴訟代理人を依頼します。
第三者が特許権を侵害した場合、特許権者は、差止請求、損害賠償請求などをすること


ができます。

(2)差止請求
差止請求は、相手に対して、「侵害行為を止めろ」と要求するものです(特許法100条1項)。
差止請求は、相手の故意・過失を問わず請求できます。また、差止請求をする際に、
「侵害行為に用いる装置や侵害品を廃棄せよ」という請求を併せて行うことができます


(同法100条2項)。

(3)損害賠償請求
過去に行われた特許権侵害に対して、特許権者は、損害賠償を請求できます。
なお、特許権侵害訴訟で勝訴しても、請求した額が満額認められるケースはほとんどなく、
損害賠償の額より訴訟コスト(印紙代、弁護士費用や人件費の合計)の方が高かったといった
事態は多々起こり得ます。

(4)特許無効
訴訟を提起された者は、特許に無効理由があるかどうかを検討し、特許庁に対して
特許無効審判を請求できます(特許法123条1項)。

(5)和解
特許権侵害訴訟を続けていると、途中で勝ち負けをおおよそ予測できますので、多くの事件
では、判決に至らず和解によって終了します。


執筆: 廣瀬国際特許事務所 代表
弁理士 廣瀬隆行
URL http://www.hirosepatent.jp/



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