2018年10月18日

【オンライン法務部メールマガジン】2018年10月号/第74号/[IT関連の取引と収入印紙]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2018年10月号 第74号 [IT関連の取引と収入印紙]
発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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秋らしくなりましたね・・・。

今月号は、石下雅樹弁護士からです。

また、11/19、医療ビジネス研究会「アドバンスド「医療4.0」」のご案内があります。

編集/茂木


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[2] IT関連の取引と収入印紙
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 読者の皆さんの事業の中には、IT関係の事業を行っている方が
少なくないと思われます。そして、顧客や協力会社(委託先や再委
託先)との契約において、収入印紙を貼付する必要があるのか、あ
るとしてどの金額なのか、迷うこともあるかもしれません。

 そこで本稿では、IT関連の取引と収入印紙についての基本的な考
え方をご説明します。なお、以下の説明は一般的な考え方としてお
読みいただき、具体的なケースについては専門家に相談されること
をお勧めします。


1)収入印紙と契約についての基礎

<収入印紙は「紙」の契約書に必要>
 収入印紙は、「課税文書」に対して課税される税金です。そして
この「文書」は、紙に記載されたものと考えられています。

 それで例えば、PDFデータや、メールのやり取りで行った合意
については、わざわざ印刷して収入印紙を貼る必要はありません。

 もっとも、万一、当該契約を巡って紛争が生じたという際には、
契約書は最も基本的な証拠となります。このことを考えると、収入
印紙を節約することばかりを考えて押印した契約書を作らない、と
いう選択肢が妥当なのかは、取引金額、合意内容の複雑性、特に
含めたい特約の有無、その他の要素を考えて慎重に考慮すべきか
と思います。

<収入印紙と契約書の効力>
 印紙が必要な契約書に、印紙を貼ることを失念したという場合、
その契約書には法的効力はあるでしょうか。結論的には、印紙の
有無は民事上の法的効力を左右するものではありません。

 なぜなら、契約書に印紙を貼付すべき義務は、税法上の義務(つ
まり納税義務)だからです。契約の有効無効は、民事上の判断です。
それで、印紙の有無ではなく、契約書作成の経緯、契約規定の明確
性、契約書に記名押印があるか、締結者が締結権限があるか(権限
があるような肩書か)、契約書の規定が独禁法や下請法などの強行
法規に反していないかといった観点で判断されます。

 ただし、収入印紙を貼付すべき書面に貼付しないと、納税義務違
反によるペナルティが課せられることになりますから注意が必要です。


2)ソフトウェア・システム関連契約と収入印紙
 以下、ITに関連した主な契約の種類ごとに、収入印紙について
考えていきたいと思います。

<ソフトウェア・システム全体の開発委託の場合>
 まず、ソフトウェアの全部の開発委託(つまり、要件定義から製
造までのすべてのフェーズを一括して委託する場合)は、特段の事
情がない限り請負契約の性質を持つと考えられます。

 そのため、請負に関する文書(2号文書)に該当すると考えられ
ます。

<開発工程(フェーズ)ごとに個別契約を結ぶ多段階方式の場合>
 他方、ソフトウェアの全部の開発委託ではなく、近年見られる、
開発工程・開発フェーズごとに個別契約を結ぶ方式の場合、別の考
慮が必要となります。

 まず、各個別契約の前提として、ソフトウェア開発委託基本契約
を締結することが少なくないと思われますが、これは「継続的取引
の基本となる契約書」(7号文書)に該当することが多いと思われ
ます(ただし、具体的には要件次第です)。

 他方、個別契約については、フェーズによって異なります。まず、
要件定義・基本設計(外部設計)については、準委任契約となるこ
とが多く、それを前提とすれば、通常は印紙は不要と考えられます。

 他方、詳細設計(内部設計)や、製造(プログラミング)の委託
に関する個別契約は、請負契約として、2号文書に該当すると解釈
される場合が多いと考えられます。よってこの場合、収入印紙の貼
付が必要となります。


3)ソフトウェアの保守契約と収入印紙
 では、ソフトウェアやシステムの保守契約では、収入印紙は必要
でしょうか。結論的にはその内容次第ということになります。

 例えば、保守の内容に、ソフトウェアの不具合の修正や補修作業
があり、それが、仕事の完成を約する請負契約であると解釈される
場合には、単発的なものなら請負に関する文書(2号文書)に該当
し、継続的な契約であれば、継続的取引の基本となる契約書(7号
文書)に該当することが多いと考えられます。

 他方、保守の内容が、操作のサポートやアドバイス、バージョン
アップ情報の提供、不具合の切り分け等であって、仕事の完成を約
する契約ではないと考えられる場合には、準委任契約となります。
この場合、通常は印紙は不要と考えられます。


執筆: 弁護士・弁理士 石下雅樹
     http://www.ishioroshi.com/


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[3] 11/19、医療ビジネス研究会「アドバンスド「医療4.0」」のご案内です!
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ベストセラー「医療4.0 第4次産業革命時代の医療 未来を描く医師30人による、2030年への展望」
https://www.amazon.co.jp/dp/4822256103/
の著者、加藤浩晃さん(医師、デジタルハリウッド大学大学院客員教授)に
「アドバンスド「医療4.0」」のご発表をいただきます。
今回は上記書籍のアドバンスド版です。このため、「医療4.0」が課題図書として指定されています。
ご発表の後、質疑応答のお時間もございます。
ご参加申込みをお待ちしております。

20181119医療ビジネス研究会
テーマ アドバンスド「医療4.0」 〜AI、ビッグデータ、IoTなどから見えてくる2030年の医療〜
発表者 加藤浩晃さん(医師、デジタルハリウッド大学大学院客員教授)
日時 2018年11月19日(月曜日) 18:45受付開始 19:00研究会開始 20:50終了
会場 竹橋「ちよだプラットフォームスクウェア」
会費 2000円

参加申込
下記のらくらく参加フォームからお申込みください。
「勉強会名」を「11/19医療研」としてください。
(SSL暗号化対応)
https://form.os7.biz/f/4da7401d/

勉強会終了後、懇親会を開催します(費用別途)。



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