2020年08月21日

【オンライン法務部メールマガジン】2020年8月号/第96号/[ソフトウェア・ベンチャーが増資を海外からの資金で行う場合の注意点]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2020年8月号 第96号 [ソフトウェア・ベンチャーが増資を海外からの資金で行う場合の注意点]
発行 オンライン法務部 https://www.motoffice.jp/olld/
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[1] ご挨拶
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猛暑、続きますね・・・。

さて・・・。今月号は、茂木正光行政書士からです。

編集/茂木


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[2] ソフトウェア・ベンチャーが増資を海外からの資金で行う場合の注意点
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ソフトウェア・ベンチャー(非上場)が増資を海外からの資金で行う場合、日本銀行
を経由して事前届出や事後報告を行うことになるときがあります。
事前届出を行う必要がある場合、一定の期間、増資を行うことができなくなります。

会社が増資を行う際に、海外から資本金の払込みが行われることを「対内直接投資」
といいます。
対内直接投資とは、外国投資家が行う、@国内の上場会社の株式または議決権の
取得で、それぞれ出資比率または議決権比率が1%以上となること(なお、この場合
の出資比率および議決権比率には、当該取得者と密接関係者である外国投資家が
所有等するものを含みます)、A国内の非上場会社の株式または持分を取得する
こと(ただし、発行済み株式または持分を他の外国投資家からの譲り受けにより取得
する場合は除く)などです。
外国投資家とは、@非居住者である個人、A外国法令に基づいて設立された法人
その他の団体または外国に主たる事務所を有する法人その他の団体などです。
日本の国籍を有していても海外に居住している場合、外国投資家に該当する場合が
あります。また、海外の国籍を有していても日本に居住している場合、外国投資家に
該当しない場合があります。

外国投資家が対内直接投資を行う場合は、原則として、日本銀行を経由して財務大臣
及び事業所管大臣に、@取引または行為を行なう前に届け出る(「事前届出」)か、
A取引または行為を実際に行なったあとで報告する(「事後報告」)必要があります。

事前届出は、たとえば、投資先が営む事業に指定業種に属する事業が含まれる場合
に行われます(事前届出免除制度を利用した場合を除く)。
指定業種の一部は下記のとおりです。
・地域電気通信業(有線放送電話業を除く)
・長距離電気通信業
・有線放送電話業
・公共放送業(有線放送業を除く)
・テレビジョン放送業(衛星放送業を除く)
・ラジオ放送業(衛星放送業を除く))
・衛星放送業
・ポータルサイト・サーバ運営業
・アプリケーション・サービス・コンテンツ・プロバイダ
・医薬品(病原生物に対する医薬品に限る)
・高度管理医療機器
・農林水産業
・武器または武器の使用を支援するための活動(輸送、通信、補給、救援または捜索を含む)
もしくは武力攻撃に対する防御のために特に設計した物
・航空機
・人工衛星
・ロケット
・原子炉
・原子力用タービン
・原子力用発電機または核原料物質もしくは核燃料物質
・原油鉱業
・天然ガス鉱業
・石油精製業
・普通鉄道業
・航空運送業
・船舶製造・修理業
などです。公的インフラや軍事・安全保障に関わる業種といえるでしょう。

ソフトウェア・ベンチャーが増資を海外からの資金で行う場合、注意が必要です。
「ソフトウェア業」(受託開発ソフトウェア業、組込みソフトウェア業、パッケージソフトウェア業)
「情報処理サービス業」(電子計算機などを用いて委託された情報処理サービス
(顧客が自ら運転する場合を含む)、データエントリーサービスなど)
「インターネット利用サポート業」(主としてインターネットを通じて、インターネットを利用
する上で必要なサポートサービス。セキュリティ・サービス業など)
についても、コア業種に該当する場合、指定業種に該当することになるからです。
コア業種とは、
@システムもしくはソフトウェアについてのサイバーセキュリティを確保するための監視
サービスまたはシステムもしくはソフトウェア等の適切な運用について、サイバー
セキュリティに関する事象もしくはその予兆の検知、防御を目的とするサービスもしくは
セキュリティ製品が出力するログの分析、通知もしくはレポート提供を継続的に提供する
サービス、
Aシステムまたはソフトウェア等の脆弱性に関する知見を有する者によるシステム
またはソフトウェア等の脆弱性の診断を行うサービス、
Bシステム及び端末等において、不正アクセス、マルウェア感染またはフィッシング
への防御を行うためのセキュリティ対策ソフトウェア・サービスなどをいいます。
サイバーセキュリティ関連が該当することになります。
また、C100万人以上の者の個人情報であって、位置情報、細胞から採取された
デオキシリボ核酸(DNA)を構成する塩基の配列、指紋、旅券の番号、運転免許証
の 番号、個人番号(マイナンバー)などを扱うために専ら用いる情報処理サービス
業、インターネット利用サポート業や、それらを扱うために特に設計したプログラム
を作成するソフトウェア業も含まれます。

事前届出は、増資を行おうとする日の前6ヵ月以内に行う必要があります。財務大臣
および事業所管大臣が、わが国の安全等に支障がないかどうかを審査するため、
日本銀行が届出書を受理した日から起算して30日を経過するまでは、届け出た増資を
行うことはできません(この期間のことを禁止期間といいます)。ただし、その禁止期間
は、国の安全等を損なう事態を生ずる対内直接投資に該当しない場合、2週間に短縮
されます。ソフトウェア・ベンチャーの増資を海外からの資金で行う場合、もしそのベン
チャーがサイバーセキュリティ―に関連する業務を行っていたときは、日本銀行宛て
に 事前届出を行う必要があり、上記の禁止期間は増資を行うことができなくなります。

事前届出の対象とならない場合も、事後報告が必要になる場合があります。
海外からの資金で行う増資の場合には、専門家にお問合せいただくことをお薦めます。

参考:日本銀行/外為法Q&A(対内直接投資編)
https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/data/t_naito.pdf


執筆: 行政書士/司法書士 茂木正光
http://www.motoffice.jp/




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posted by olld at 11:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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