2020年10月15日

【オンライン法務部メールマガジン】2020年10月号/第98号/[商品のデザインの保護と意匠権]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2020年10月号 第98号 [商品のデザインの保護と意匠権]
発行 オンライン法務部 https://www.motoffice.jp/olld/
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[1] ご挨拶
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秋ですね・・・。

さて・・・。今月号は、石下雅樹弁護士からです。

編集/茂木


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[2] 商品のデザインの保護と意匠権
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1)意匠登録とは
商品のデザインは、商品の大きな魅力の一つです。そのため、優
れたデザインは、市場における商品の競争力の大きな源泉となりま
す。他者に容易に目に見えるゆえに、デザインは模倣されやすいも
のでもあります。

そこで本稿では、商品のデザイン保護のために有力な手段の一つ
である意匠権について簡単にご説明します。

さて、意匠権の登録を受けると、登録を受けたデザインを日本国
内で独占的に使用することができます。それで、自社の登録意匠と
類似するデザインを他社が使用していれば、その行為を差し止めた
り、損害賠償の請求ができます。

意匠権の存続期間は、設定登録の日から20年であり、長期にわ
たって保護を受けることができます(なお、2020年4月1日以降
出願されたものについては出願の日から25年となりました)。

2)意匠が登録を受けられる要件
もちろん、どんなデザインであっても意匠登録を受けられるわけ
ではありません。種々ある意匠登録の要件のうち、重要なものは以
下の2点です。
(a)新規性
これまで世の中で知られておらず、使用されていなかった「新し
いデザイン」であることが必要です。もちろん、デザインの全部分
が新規である必要はなく、既存のデザインに比べて新規な部分があ
ればよいという意味です。
(b)創作非容易性
デザインのうち新規な部分が、世の中にある既存のデザインから
容易に考えついた、とはいえない必要があります。これを「創作非
容易性」といいます。

既存のデザインから容易に考えつくような、微細な差異しかない
デザインについて意匠権による独占権が認められると、かえって産
業の発展を阻害してしまうというのが理由です。

3)ビジネス上の留意点
意匠登録制度は、もっと活用されてよい制度ではないかと個人的
には考えています。

例えば、容易にご想像のとおり、意匠登録は模倣品対策において
重要な武器となります。特に優れたデザインほど安価な模倣品が出
回るおそれが強くなり、放置すると自社製品やブランドの市場価値
が下落したり、価格競争に巻き込まれたりしますが、こうした事態
を防ぐことができるからです。

この点、「デザインは著作権で保護されるのではないか」と考え
る人もおられます。しかし、一般に工業デザインは、極めて例外的
な場合を除き、著作権の保護の対象外と考えられています。それで、
商品のデザインの保護のために著作権に頼ることは通常は困難です。
また「そもそも他者のデザインの模倣自体が違法ではないか」と
考える方もおられるかもしれません。しかし、商道徳上はともかく、
市場に出て流通している商品と同じ又は類似のデザインを採用する
こと自体は、ただちに違法とは考えられていません。

確かに不正競争防止法では、新製品の販売開始後3年間は、その
製品の形態の模倣が原則として禁止されます。しかしこの場合、権
利者は、他者が「故意に模倣した」という事実を立証する必要があ
りますが、この立証はハードルが高いのです。また同法の規定では、
同一又は実質的に同一の製品は規制されますが、「類似」の製品は
規制されません。

他方、意匠権侵害であれば、類似の製品を販売する他社が、故意
に模倣したのか、たまたま類似したかは関係がありません。権利者
側は、当該製品のデザインと登録意匠と類似することを立証すれば
足りますし、侵害行為の範囲も「類似」のデザインに及びます。し
たがって、工業デザインを保護するための方法としては、意匠権は
優れた手段の一つではないかと考えます。

執筆: 弁護士・弁理士 石下雅樹
https://www.ishioroshi.com/



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