2013年08月22日

【オンライン法務部メールマガジン】2013年8月号/第14号/[役員給与について(税理士の視点から)]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2013年8月号 第14号 
テーマ [役員給与について]
発行 オンライン法務部
http://www.olld.jp/
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[1] メルマガ第14号のご挨拶
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 皆さんこんにちは。まだまだ暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
創業間もない時はフットワークが命!暑いなんて言っていられない! ごもっと
もなお話です。ですが、従業員やご家族の方には気を使ってあげてくださいね。
家族や従業員に気を使うのも、大事な経営者の仕事です。


 各士業の専門性と経験を生かしたワンストップサービスを展開しているオンラ
イン法務部からのメルマガ第14号をお送りいたします。

 今回は、役員報酬について簡単に説明をいたします。ベンチャー企業の最初の
節税ポイントです。コツをつかんでおきましょう。

 本稿を読んでおけば、いざその機会が訪れた場合に、専門家に相談する場合も
より実りのある相談となることでしょう。



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[2] 役員報酬について
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(1)役員報酬とは

 役員報酬とは、取締役や監査役に対する給与のことです。税法では特に役員給
与と呼んでいます。役員給与には現物の給与や役員に対する賞与を含みますが、
退職金は役員退職給与として分けて考える事が通例です。


(2)役員報酬は経費である

 会社法に規定されている計算書類のうち、貸借対照表は会社の財産、負債を表
す計算書類です。そして売上や経費を元に利益を計算する書類が損益計算書です。
 経費は大きく分けて2つがあります。一つは売上原価、もう一つは経費です。
そして、経費のうちの一つが役員報酬となります。
 役員報酬は株主から託された資本を元に営業活動を行い、その結果利益を出し
株主資本を増やして、最終的に株主に配当を行います。ですので、給与・賃金と
同じ人に関する費用ですが、法的な位置づけは少し違うのが特徴です。


(3)定期同額給与

 役員報酬は株主総会、もしくは取締役会等で決定され、改定されます。これは
会社法において決められており、変更をする事も、正規の手続きがあれば可能と
なっています。
しかし、法人税法では役員報酬の改定は一度しか認められません。それも、事
業年度開始の日より3ヶ月以内に改定しないといけません。3ヶ月経過日以降に
役員報酬を改定した場合、経費として認められる金額が減ってしまいます。この
ような役員報酬を「定期同額給与」と言います。
定期同額給与は、3ヶ月以内改定日以内に改定された、改定前と改定後の報酬
金額を同額で支払った場合、その支払った金額を経費として認めると言うもので
す。
これだけだと分かりづらいですよね。事業年度開始日6ヶ月経過した日から役
員報酬を変更した場合を見てみましょう。なお、決算は3月決算とします。

(例1)
 期首(4月)役員報酬  50万円
 5/20株主総会にて70万円に改定(6月分より変更)
 9/20臨時株主総会にて100万円に改定(10月分より変更)

 給与の総額
  ※50万円×2ヶ月+70万円×4ヶ月+100万円×6ヶ月=980万円


 上記の場合に経費に出来る金額は下記の通り、800万円しか認められません。

 経費として認められる金額
  ※50万円×2ヶ月+70万円×10ヶ月=800万円

 後半の変更された100万円の増額部分、合計で180万円は経費として認め
 られないことがわかります。


 (例2)
 今度は減額した場合を見てみましょう。(例1)の場合で、9/20の変更が
 100万円でなく、40万円になった場合です。

 給与の総額
  ※50万円×2ヶ月+70万円×4ヶ月+40万円×6ヶ月=620万円

 経費として認められる金額
  ※50万円×2ヶ月+40万円×10ヶ月=500万円

 なんと、当初の変更よりも下げてしまうと、その下がった金額が変更後までさ
 かのぼってしまい、最終的には120万円も経費として認められなくなってし
 まうのです。


 役員報酬をあげるのも下げるのも、結局法人税が増える結果となってしまいま
す。一方所得税は、実際にもらった金額に対し課税されてしまうので、(例2)
の場合、120万円については所得税も法人税も課税されてしまうのです。
 ですので、役員報酬の変更は3ヶ月以内の一度きりだけなのです。また、同じ
金額で無ければならないので、賞与は原則的には経費に出来ません。

 なお会社を設立したときの役員報酬は、設立後3ヶ月以内に決定する必要があ
ります。かなり短い期間に決めなければならないので、とても厳しい状況です。

(4)事前確定届出給与
 何年も経過した会社ならまだしも、設立間もないベンチャー企業が、年間の利
益を見越して役員報酬を決定することは非常に大変です。ではどうすればよいの
でしょうか。

 ここで、もう一つの役員報酬である「事前確定届出給与」をご紹介いたします。

 先ほど、「賞与は原則的に経費にならない」と言いましたが、実は「定期同額
給与」に該当しないから経費にならないだけなのです。この「事前確定届出給
与」を使うと、役員であっても賞与を経費にすることが出来ます。

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※ 事前確定届出給与の要件
(A)誰に支払うかを決める(対象者)
(B)いくら支払うかを決める(金額)
(C)いつ支払うかを決める(支給日)
(D)上記内容を事業開始後3ヶ月以内(新設法人は2ヶ月以内)に
税務署に届出する。
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 上記条件を満たせば、その届出どおりに支給された賞与は、法人税法上の経費
として認められます。
では実際にいつ支払えばよいのでしょうか。それはズバリ、決算月(例の場合
であれば3月中)です。賞与の時期を決算期直前にすることで、今期の業績を元
に賞与を支給し、過大に法人税の支払いを免れることができます。

 ただし、事前確定届出給与は届出どおりに支給しなければ、その支給額の全額
が経費とならなくなります。例えば、100万円の届出に対して、80万円しか
支給しなかった場合は、80万円全額が経費として認められません。

 なお、まったく支給しなかった場合には何もお咎めがありません。ですので、
支給の可能性が少しでもあれば、届出は出しておく事が賢明です。

 上記規定を上手に使いながら、計画的な利益計画を立てて事業を盛り上げてい
きましょう!


※実際の規定の適用についてはご自身の責任において判断してください。もしご
不明点やご不安がおありでしたら、オンライン法務部か、又は直接当方までお問
い合わせください。

            (執筆 阿部尚武税理士事務所 代表
                           弁護士 阿部尚武)
                     URL  http://www.abekaikei.com/


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[4] お知らせ〜オンライン法務部メンバーが講師を務めるセミナーの紹介
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 今回のお知らせコーナーでは、オンライン法務部のメンバーである石下雅樹弁
護士・弁理士がこの度講師を務める、技術系ベンチャーにとってタイムリーなセ
ミナーをご案内します。

  セミナーページ http://blackducksoftware.jp/events/
  日時:2013年 8月 30日(金)13:45〜17:00(13:30受付開始)
 場所: AP東京八重洲通り 12F ルームF
  定員: 60名
 参加費: 無料

 フリー/オープンソースソフトウェア(FOSS)のエンタープライズ規模の
採用を可能にする戦略、製品、およびサービスを提供するグローバルリーダーで
あるブラック・ダック・ソフトウェア社が主催する「BD−OSS拡大リーガル
セミナー」において、石下弁護士・弁理士が、「実際の相談事例でみる オープ
ンソースソフトウェア利用上の注意点」について講演し、企業からのOSS利用
に関する相談内容を紹介・解説するとともに、法的な注意点と所見等を具体的に
説明する予定です。

 そのほか、日本企業でのOSSコンプライアンス管理実践事例や、インド企業
でのコンプライアンス実践事例についての講演もプログラムに含まれております。

 ご関心のある方は、以下のお申込ページからお申込ください。

  http://advance.blackducksoftware.com/content/JPEventLegalSeminar20130830

 なお、前記セミナーはブラック・ダック・ソフトウェア社が主催するセミナー
であり、オンライン法務部は運営には関わっておりません。同セミナーに関する
お問い合わせは、同社まで直接お願いいたします。


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posted by olld at 17:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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