2015年12月17日

【オンライン法務部メールマガジン】2015年12月号/第40号/[IoTとビジネスモデル特許]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2015年12月号 第40号
テーマ [IoTとビジネスモデル特許]

発行 オンライン法務部
http://www.olld.jp/
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[1] ご挨拶
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今年の師走は暖かいですねぇ・・・。とりあえず、第40号です。

今回のテーマは、廣瀬隆行弁理士から
「IoTとビジネスモデル特許」についてです。

編集/茂木


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[2] IoTとビジネスモデル特許
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1.IoT
 最近、アップルウォッチの発売や、経済産業省と総務省による産学官連携の
IoT推進コンソーシアムなど、IoTが何かと話題です。IoTは、Internet of
Thingsの
略であり、あらゆるものがインターネットに接続される
世界を想定したものです。
 IoTは第4次産業革命ともいわれるほど、世界を変えることが推測され、
しかも極めて近い将来に、IoTによる大きな産業変化があると推測されています。

2.IoT関連技術
 IoTでもっとも目立つのは、ビックデータ解析、機械学習といった情報の処理技術ですが、
IoTを支えるセンシング技術、大量の情報を記憶し処理するためのシステムや
セキュリティー技術などもIoTの重要な技術です。
 つまり、IoTを支える技術は、これから開発されるものばかりではなく、
これまでIoTとして認識されていなかった技術も多く含まれています。

3.IoT関連の特許出願
 上記のとおり、IoTを支える技術は、多岐にわたります。IoTに関する特許出願は
今後のものではなく、従来からたくさんの出願がなされてきたのです。一方、特許出願を
担当している一弁理士としては、IoT関連の特許出願は増加しているという感覚があります。
 もっとも、IoTの重要技術であるデータ解析については、特許出願が必ずしも
増加していないと感じています。
 それは、ビックデータ解析などのデータ解析は、基本的には、「コンピュータソフトウェア
関連発明」に属しており、これは、従来話題となった「ビジネスモデル特許」と同じ
カテゴリーだからです。
 つまり、新たな対象に基づいて、データ解析を行って新たなサービスを考えた場合、

システムが扱うコンテンツ(対象)は新しいものとなります。しかし、特許庁の「特許・実用新案
審査基準」上、扱うコンテンツが従来のものと異なってもコンピュータ上での処理が同じであれば、
発明としては同じである(つまり新規性がない)と判断されてしまいます。
 「ビジネスモデル特許」(コンピュータソフトウェア関連発明)は、他の分野の発明に比べて
特許される割合がとても低いのです。一方、特許出願を行うと、データ解析のノウハウが
公開されてしまいます。
 重要なノウハウが開示されてしまうにもかかわらず、特許を取得できる可能性が必ずしも
高くないのでは、特許出願に慎重になるのもうなずけます。

4.アイディアだけで出願できるコンピュータソフトウェア関連発明(ビジネスモデル特許)
 化学、医薬及びバイオに関する発明について特許を取得するためには、通常、
少なくとも一つ以上の実施例が必要になります。これは、これらの分野に属する発明は、

アイディアだけでは本当に発明を実現できるかわからないからです。
 一方、コンピュータソフトウェア関連発明は、通常アイディアの段階でも実現できると考えられます。
 そうすると、今後IoTが世界の産業の中枢を担うことを想定すれば、今こそ、その中枢に
食い込む特許を比較的容易に取得できる可能性があるといえます。
 
5.個人で出願する際の留意点
 上記のとおり、現在、IoTの推進に関連して大きなビジネスチャンスがおとずれています。
 一方、コンピュータソフトウェア関連発明は、通常アイディアの段階でも出願できることを
説明しましたが、過去にコンピュータソフトウェア関連発明を個人的に出願された方の多くは、
拒絶されています。
 以下では、コンピュータソフトウェア関連発明を出願するためのポイントを簡単に説明します。
 
(1)請求項の主体に人を入れない
 特許権は、請求項毎に与えられます。ですから、出願書類のうち請求項が権利範囲を定める
もっとも重要な部分といえます。
 化学などの分野では、たとえば「○○に△△を加える工程」といった工程が請求項において規定され、
この工程を行う者は、通常人間です。ですから、請求項に人の行為が含まれることが当然のように
許されています。
 一方、コンピュータソフトウェア関連発明は、人の行為が介在すると、特許されません。
 ですから、請求項に、「コンピュータに○○を入力する工程と」のような記載をすると、
人が作業を行う主体である可能性があると判断され特許されないのです。
 この場合、「コンピュータに○○が入力される工程と」のように、人が入力した後のコンピュータに
おける処理工程を規定する必要があるのです。
 屁理屈のようでわかりにくいですが、上記は、コンピュータソフトウェア関連発明について
特許を取得するうえでは大変重要な要素なのです。
 
(2)ハードウェアとソフトウェアの協働を必ず記載する
 次に、本来書くまでもないことのようにも思えるのですが、出願書類のうちの明細書には、
ハードウェアとソフトウェアの協働を記載する必要があります。
 これは、たとえば、「コンピュータに○○が入力されると、入力された○○が記憶部

(というハードウェア)に記憶され、制御部が、プログラム(というソフトウェア)からの制御指令
に基づいて、記憶部に記憶された○○を読み出して、演算部に演算処理を行わせ、
得られた□□を記憶部に記憶させるとともに、出力部から出力する。」といったものです。
 弁理士が作成した出願書類を読むと、上記のような必ずしも正しくなく、しかも冗長とも思える
記載が多々あると思います。
 それは、特許庁が要求するコンピュータソフトウェア関連発明に関する要件を満たすためなのです。
 コンピュータソフトウェア関連発明を出願する際の最低限の基準は、特許庁のホームページに
アップロードされている特許・実用新案審査基準に記載されています。
 興味がある方は是非、入手されることをお勧めします。


執筆: 廣瀬国際特許事務所 代表
     弁理士 廣瀬隆行
     URL  http://www.hirosepatent.jp/



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