2019年06月21日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年6月号/第82号/[中国での専利(特許、実用新案及び意匠)事情]

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2019年6月号 第82号 [中国での専利(特許、実用新案及び意匠)事情]
発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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梅雨っぽいですね・・・。

今月号は、廣瀬隆行弁理士からです。

編集/茂木


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[2] 中国での専利(特許、実用新案及び意匠)事情
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1.はじめに
 世界から注目されている中国。知的財産の分野でも中国は注目されています。
「中国は知的財産権を無視している」といったお話しをよく耳にしますが、実態は
どうなのでしょう。

2.中国の出願件数
 特許庁の統計データによれば、2016年の中国への特許出願件数は約134万件であり、

米国の約61万件や、日本の約32万件を大きく超えて、世界第1位です。また、中国では、

我が国と異なり実用新案登録出願も特許出願とほぼ同程度出願されています。発明や
考案に関し、中国は、多量の出願がなされていることが分かります。
 なお、2016年の日本や米国から中国への出願がそれぞれ約4万件であるのに対し、
中国から日本への出願は約4000件となっています。日本企業は頑張って中国へ出願
しているのですが、中国企業はそれほど日本で権利化を考えていないことが分かります。


3.知財関連訴訟について
 例えば、2017年における中国での知財訴訟件数は、約20万件であり、専利(特許、
実用新案及び意匠)に限っても約1万6000件の侵害訴訟が提起されています。一方、
我が国の知財訴訟の件数は、毎年数百件程度です。
 中国では、急速に、知的財産に関する訴訟リスクが高まっていることが分かります。この
現実をみると、「中国は知的財産権を無視しているなどとは到底言えません。
 中国での侵害訴訟における損害賠償の認定額も従来は低額なものが多かったのですが、

近年は高額な損害賠償額が認定されるケースが散見されます。その中には、日本企業
に対して比較的高額な損害賠償の支払いを命じる事件もありました。中国での知的財産

リスクが高まっているといえるでしょう。また、中国での知的財産の価値も高まっていると
いえます。

4.中国の実用新案の特徴
 日本では、実用新案登録出願の件数が急激に減りました。それは、警告や訴訟提起
には、実用新案技術評価書が必須であること、警告などが空振りに終わった場合(実用

新案登録が無効になったり、対象製品などが侵害しないことが明らかになった場合)に、

実用新案権者がかえって損害賠償を負う可能性があることが、その理由です。
 一方、中国では、特許と実用新案の同日出願が認められており、実用新案権が満了
する前に特許に切り替えることで、シームレスに保護を続けることができます。日本に

おける評価書の提示義務や、損害賠償責任に関する規定はありません。また、実用新案権
も特許権と同様の保護を受けられるにもかかわらず、中国では、実用新案に要求される

進歩性は、特許に対して要求される進歩性より低いのです(例えば、実用新案に対しては
1つまたは2つの引用文献に基づいて進歩性が判断されます。特許では、複数の引用文献
に基づいて進歩性が判断されます)。このような背景から、中国では多くの実用新案が

出願及び登録されています。

5.中国に対してどのような知的財産戦略をすべきか
 上記の通り、確かに中国での出願や訴訟が増えており、損害賠償も高くなってきています。
このような背景を受け、日本企業は多数の特許出願を中国に出願するようになってきました。
 ですが、中国出願を活用できている日本企業は、それほど多くないようにも思えます。

中国への出願は、中国語への翻訳料を含め費用が掛かりますので、費用対効果や、
それぞれの出願の意図をよく考えて、出願することが望ましいといえます。

執筆: 廣瀬国際特許事務所 代表
弁理士 廣瀬隆行
URL http://www.hirosepatent.jp/




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2019年05月16日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年5月号/第81号/[わかりやすくなった【所得拡大促進税制】とは?!]

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2019年5月号 第81号 [わかりやすくなった【所得拡大促進税制】とは?!]
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[1] ご挨拶
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初夏ですね・・・。

今月号は、阿部尚武税理士からです。

編集/茂木


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[2] わかりやすくなった【所得拡大促進税制】とは?!
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さて今回ご紹介するのは、新しくなった【所得拡大促進税制】です。
平成25年度から始まったこの制度は、以下の要件を満たす場合に、前期から増加した
人件費の10%(特定の要件を満たす場合には22%)を納税額から控除する制度です。
企業はもちろん、個人事業者にも適用があります。この制度の適用要件が変わり、
さらに税額控除の上乗せができるようになりました。

1.要件の変更
※所得拡大促進税制の要件(今まで)
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1.基準年度と比較して給与が増加
2.前期と比較して給与が増加
3.前期と比較し一人当たりの月額給与が増加
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上記要件が以下の通りとなります。

※所得拡大促進税制の要件
(平成30年4月以降開始事業年度より)
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1.(なし)
2.前期と比較して給与が1.5%増加
3.前期と比較し一人当たりの年額給与が増加
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実は、3の「一人当たり給与」の対象者も変わりました。
今までの対象者の条件は以下の通りです。

※「一人当たり給与」の対象者
(すべての要件に該当する者)
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1.前期・当期に給与をもらっている者
2.65歳以上の再雇用されている者以外の者
3.週20時間以上働いている者
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1ですが、前期に中途入社した場合や当期に中途退職した者も含まれます。
これが平成30年の税制改正で、以下のように変更となります。

※「一人当たり給与」の対象者
(すべての要件に該当する者)
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1.前期首から当期末まで在職している者
2.65歳以上の再雇用されている者以外の者
3.雇用保険の適用対象者
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これまでは、中途入社した者や退職者の給与を考慮していたのですが、これからは
前期首から当期末まで在籍している者のみで判定します。ちょっと分かりづらいのですが、
要は前期・当期に中途入社または退職者でない者の給与が上がれば適用できる
ことになります。ですので、従業員の入退社が激しくて平均給与が上がらない企業
には朗報です。
また、雇用保険に実際加入している者のみがこの比較対象者となりました。
ですので、 2年以上の在籍者の給与が1.5%あがれば適用できます。例えば、年収
300万円の場合は年収304.5万円となれば適用できます。
さらに、2年以上勤めている従業員がいない会社には適用がありません。ここもポイント
かもしれません。従業員が入社したばかりの場合、入社3年目の決算から適用が
受けられます。

2.税額控除
税額控除は控除額が10%から15%に増加しています。さらに以下の要件を満たして
いる企業は10%の上乗せ措置があります。通常の15%と合わせると最大25%の
税額控除が認められます。

※上乗せ要件(次のいずれかを満たす)
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1.教育訓練費が前期より10%増加し、「一人当たり給与」が2.5%増加していること
2.経営力向上計画の認定を受け、その後、経営力向上報告書を提出すること
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上乗せを目指すために従業員の給与を増やし、かつ教育訓練費を増やす目標を立てる
と良いかと思います。

いかがでしょうか。判定の基準がかなり異なることになるので、一概に良くなったか悪く
なったかは言えませんが、長く務める従業員の待遇を良くしていくことで、税額控除
が受けられると考えれば、事業発展のため従業員のモチベーションを上げるきっかけ
づくりが出来るかもしれません。

執筆: 阿部尚武税理士事務所 代表 阿部尚武
http://www.abekaikei.com/




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2019年04月18日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年4月号/第80号/[他者の商標の登録を争う方法]

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2019年4月号 第80号 [他者の商標の登録を争う方法]
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[1] ご挨拶
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春ですね・・・。

今月号は、石下雅樹弁護士からです。

編集/茂木


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[2] 他者の商標の登録を争う方法
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(1)他者の商標の登録を争う方法
 商品やサービスの展開にあたって、ブランドの活用は重要な位置
づけを占めます。

 この点、自社のブランドに抵触するような、商標を、他社が出願
したり、または登録を得てしまうということがあるかもしれません。
あるいは、本来は誰でも使えるはずの普通名称的な商標が他社に
よって登録されてしまうということもあるかもしれません。

 このような場合に、商標法に照らすと本来登録を受けるべきでな
いと考えられる商標の登録を阻止したり、登録を覆したりする制度
があります。

 具体的には、以下のような方法があります。

(a)情報提供制度
 商標が出願されると、後にその出願が公開されます。この場合、
第三者が、当該出願が商標法の要件を満たしていないと考える場合、
その理由についての情報や資料を提供することができます。

(b)商標登録異議制度
 ある商標が登録された後、第三者が特許庁に対し、その登録の取
消を申し立てることができます。

(c)無効審判
 前記の「登録異議」に加えて、登録商標について無効とすべき理
由があると考える場合に、特許庁に請求できる「審判」という制度
があります。

(d)不使用取消審判制度
 他社がある商標の登録を受けているのに、現実には使用されてい
る形跡がないと思われる場合があります。このような使用の事実が
ない商標に独占権を与えるのは不合理であるため、当該商標の登録
を取り消すことを求める制度があります。

(2)各制度の違い
 各制度には種々の違いがありますが、数点に絞って見てみたいと
思います。

(ア)手続を行える当事者
 情報提供、登録異議申立、不使用取消審判は誰でも手続を行うこ
とができます。この点、例えば、登録を争いたい商標権者が、自社の
取引先であるとか、(表向きは紛争に入りたくない)競業先である
という場合があるかもしれません。それで、自社の名前を出さずに、
第三者の名前で(もちろんその第三者の承諾を得て)手続を進め
ることは実務上珍しくありません。

 他方、無効審判を請求するには、利害関係が必要と解されていま
す。それで、この手続が使用できない場合もあります。

(イ)手続を行える期間
 情報提供については、特許庁に係属している商標登録出願につい
て行うことができます。つまり、拒絶査定が確定した場合、設定登
録された場合、取り下げられた場合等には、情報提供を行うことは
できません。

 商標登録異議申立も、登録公報の発行から2ヵ月以内という期間
の制限があります。

 他方、無効審判については、原則としていつでも無効審判の請求
が可能です。ただし、多くの無効理由は、商標登録日から5年以内
に無効審判を請求する必要がありますので、これを目安とするほう
が安全です。

 また、不使用取消審判は、登録から3年経過した後ならいつでも
申し立てることができます。

 以上のように、他者の商標の登録を争う方法は種々あり、一長一
短がありますが、これらの手続を利用して、不当な商標登録を防止
したり覆したりできれば、自社のビジネスへの悪影響をできるだけ
小さいものにとどめることができるかもしれません。

 具体的なアクションにおいては専門家への相談と助力が必要です
が、どんな制度があるのかを知っておくだけでも損はないでしょう。
 

執筆: 弁護士・弁理士 石下雅樹
     http://www.ishioroshi.com/




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