2019年10月17日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年10月号/第86号/[自社の営業秘密を守るために留意すべき事項]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2019年10月号 第86号 [自社の営業秘密を守るために留意すべき事項]
発行 オンライン法務部 http://www.motoffice.jp/olld.index
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[1] ご挨拶
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やっと秋になりましたね・・・。

今月号は、石下雅樹弁護士からです。

編集/茂木


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[2] 自社の営業秘密を守るために留意すべき事項
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(1)法的な保護を受ける営業秘密
現代においては、企業にとって、営業上の秘密やノウハウは競争力
や利益の重要な源泉であり、その法的な保護は重要な経営課題です。

特に技術系ベンチャー企業にとっては、自社の技術を特許として
公開するという選択を取らず、ノウハウとして秘匿するという戦略を
取るのであれば、自社の秘密保護は最も重要な経営課題の一つと
なります。

この点で重要な役割を果たすのは、適切な秘密保持契約(NDA)
を事前に締結することですが、そのほか、「不正競争防止法」(不競法)
も活用できる法律の一つです。

しかしながら、自社の情報が不競法上の営業秘密としての保護を
受けるためには一定の要件が必要であり、単に営業秘密であると
主張するだけで法律上保護されるわけではありません。

むしろ、モノをいうのは日常の情報管理です。

(2)不競法における営業秘密の要件
一般に、不競法上、ある秘密情報が保護されるためには、以下の
3つの要件が必要とされています。
a) 非公知性:公然と知られていないこと
b) 有用性:事業活動に有用な情報であること
c) 秘密管理性:秘密として管理されていること

そして最も重要でハードルが高く、普段の管理がモノをいうのが、
「秘密として管理されていること(秘密管理性)」です。

この点、秘密管理性があるか否かの判断にあたっては、一般的に、
以下のような状況が総合的に考慮されます。
(a)秘密表示・記録
秘密表示(「社外秘」「部外秘」等)
台帳による情報の閲覧、持出、返還、廃棄の管理
(b)人的管理
役員や従業員から秘密保持誓約書の徴求
秘密管理に関する教育、研修、指導の実施
契約先・業務委託先の秘密情報の管理
(c)物理的管理
保管庫等・保管場所の施錠
秘密情報の保存場所の制限と入退室制限
秘密情報が記録された書類や媒体の持出制限
(d)技術的管理
情報の性質に応じたアクセス者とアクセス権限の限定
情報へのアクセス制限(パスワード等)
情報を保存する端末・サーバーの限定と外部ネットワークからの遮断

(3)ビジネス上の留意点
筆者のもとにも、多くの企業経営者が、「退職した従業員が自社
の秘密情報を使っている」といった相談が時折寄せられます。

そして詳しくお話しを伺うと、相談者の企業側における日常の秘密
管理が甘く、効果的な責任追及の見通しが立たないか、厳しい戦い
を強いられるというケースも少なくありません。

もっとも、秘密管理性の判断にあたっては、特に中小企業について
は、会社の規模や組織形態に応じて多少柔軟に考える裁判例もあり
ます。それで、弁護士と相談しつつ、自社が扱う秘密情報の重要性、
社員数や組織体制、使用可能な技術的措置、かけられるコストを考慮
して、現実に即した秘密管理のあり方を検討しても良いかもしれません。

執筆: 弁護士・弁理士 石下雅樹
http://www.ishioroshi.com/


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2019年09月19日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年9月号/第85号/[副業・兼業に関わる実務]

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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2019年9月号 第85号 [副業・兼業に関わる実務]
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[1] ご挨拶
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やっと涼しくなりましたね・・・。

今月号は、山本喜一社会保険労務士からです。

編集/茂木


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[2] 副業・兼業に関わる実務
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働き方改革の議論における柔軟な働き方の1つとして、副業・兼業の推進が掲げられていますが、副業・兼業を認める場合、労働時間管理や健康管理、各種保険関係の加入の整理、情報管理など、さまざまな留意点があります。現在、様々な検討が行われていますが、現時点(2019年8月)での法律的な取扱いは下記のとおりです。

1. 副業・兼業は禁止できるのか?
公務員については、副業・兼業が規制されていますが、民間企業においては副業・兼業を規制する法律はありません。一般的な会社では副業・兼業は就業規則などによって、原則禁止とされていましたが、副業・兼業に関する裁判例によれば、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的に労働者の自由であり、これを禁止又は制限することが許されるのは、労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合とされています。

2. 副業・兼業のパターン
副業・兼業という言葉の定義について、法的な定めはありません。自社で雇用している労働者が副業・兼業をする場合を検討すると、パターンとしては大きく下記の3つに分けることができます。
         本業 副業
パターン1 自社で雇用 B社で雇用
パターン2 自社で雇用 C社で経営者、役員
パターン3 自社で雇用 個人事業主

3. 副業・兼業をしている従業員の労働時間管理
自社で雇用をしていて、他社でも雇用される場合(パターン1)について、割増賃金は時間を通算して計算しなければいけません。
なお、自社で雇用をしていて、他社で経営者、役員の場合や個人事業主の場合(パターン2、パターン3)は、自社以外では労働基準法の労働時間に関する規定は適用されないが、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、当該労働者の自己申告により労働時間を把握すること等を行い、自社とそれ以外の労働時間の合計が長時間にならないよう配慮することが望ましいとされています。

4. 各種公的保険(労働者でない場合は社会保険のみ検討)
労災保険は、それぞれ加入します。業務災害があった場合は、その就業先の賃金のみを算定基礎として算出した給付の額になります。
雇用保険は、メインとなる1つの就業先で加入します。
社会保険は、複数で被保険者加入要件を満たせば、複数で加入することになります。

執筆: 社会保険労務士法人日本人事 代表社員 山本喜一
http://www.sr-jhr.com/




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2019年08月15日

【オンライン法務部メールマガジン】2019年8月号/第84号/[日本の大学を卒業した留学生が一般的なサービス業務や製造業務に就職できるようになりました]

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2019年8月号 第84号 [日本の大学を卒業した留学生が一般的なサービス業務や製造業務に就職できるようになりました]

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[1] ご挨拶
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猛暑ですね・・・。

今月号は、茂木正光行政書士からです。

編集/茂木


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[2] 日本の大学を卒業した留学生が一般的なサービス業務や製造業務に就職できるようになりました
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日本の大学または大学院を卒業した外国人留学生の日本企業への就職希望は増加傾向にあります。また、日本企業の人手不足もあり、政府は日本の大学または大学院を卒業した外国人留学生の日本企業の就職を増やす戦略を示しています。

日本の大学または大学院を卒業した外国人留学生が日本企業に就職するためには、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる就労ビザ)などに変更する必要があります。出入国在留管理局に在留資格変更許可申請手続きを行うことになります。平成29年の左記の許可数は22,419人でした。前年の許可数に比して2,984人(15.4%)増加しました。なお、国籍・地域別の許可数の上位5ヵ国は、(1)中国10,326人、(2)ベトナム4,633人、(3)ネパール2,026人、(4)韓国1,487人、(5)台湾810人で、アジア諸国が全体の95.5%を占めています。

しかしながら、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の変更許可を得るためには専門性のある業務に就くことが必要となります。この専門性が認められるためには、大学または大学院での専攻と就職先の業務との関連性が求められます。

そこで、出入国在留管理庁は、本年5月、「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン」を示しました。これは、日本の大学または大学院を卒業・修了した外国人留学生の就職支援を目的として、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務を含む幅広い業務に従事することを希望する場合は、在留資格「特定活動」による入国・在留を認めるとするものです。たとえば、飲食店に採用され、店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うのであれば、それに併せて、日本人に対する接客を行うことも認めるということになります(厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません)。

言い換えると、日本の大学または大学院を卒業した外国人留学生が日本企業などにおいて、日本の大学または大学院において修得した広い知識、応用的能力等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるということです。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、一般的なサービス業務や製造業務などが主たる活動となるものは認められませんが、本制度においてはこれらの活動も可能となります。

対象者としては、日本の大学を卒業または大学院の課程を修了し、学位を授与され、かつ、高い日本語能力を有する者が対象となります。@日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られます。短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の修了は対象になりません。合わせて、A日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者が対象です(なお、大学または大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方については、Aの要件を満たすものとして取り扱います)。単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務である必要があります。また、従事しようとする業務内容に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、または、今後当該業務に従事することが見込まれる必要があります。

ガイドラインが示す具体例として、下記もあります。
・工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの(ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません)。
・小売店において、仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行いつつ、日本人に対する接客販売業務を行うもの(商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません)。
・ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、外国人客への通訳(案内)、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行ういつつ、日本人に対する接客を行うもの(客室の清掃にのみ従事することは認められません)。

注意点としては、日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けることが許可の要件になっています。

すなわち、いろいろ要件はありますが、日本の生活に慣れ、日本で就職してみたいと考える、日本の大学または大学院を卒業した外国人留学生の日本企業への就職の機会が増えたということができそうです。

※ 日本の大学を卒業した留学生の一般的なサービス業務や製造業務への就職については下記までお問合せいただければと存じます。

執筆: 行政書士/司法書士 茂木正光
http://www.motoffice.jp/




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